熊のカリフォルニアMBA留学記

理系の熊がカリフォルニアで七転八倒したMBA留学の記録(ブログ)です

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【授業】どんな人にも必ず役に立つスキル Negotiation

      2016/01/05

ネゴシエーション(交渉術)というと、どのようなものをイメージするでしょうか?メジャーリーガーの代理人、あるいは家電売り場での値切り、そういえば「交渉人 真下正義」なんて映画もありました。

どれも正解だと思います。

これらにはすべて共通のフレームワークがあり、それを学ぶことで自分と相手にとって利益のある交渉ができるようになります。

Negotiationのクラスでは、これらのフレームワークを学ぶとともに、クラスメートを相手に実践、振り返りを繰り返すことで、お互いにとって有益な交渉を行うスキルを身に着けます。

【Why】ネゴシエーションというと受ける誤解

ネゴシエーション(交渉術)というと人によりイメージするものは様々です。

強面のお兄さんが、高圧的に要求してきたリ、あるいは信じられないような値切りを実現する、というような技術をイメージする方がいるかと思います。

残念ながら、この交渉術では魔法のような結果を生み出すことはほぼできません。

この授業で学ぶのは、相手とお互いの利益を最大化するような交渉を行うことです。

自分の普段の頑張りを何倍にもしてくれる

熊が交渉術の授業を受けてみて感じるのは、思いのほか普段から利益が最大になるような交渉ができていないということです。

普段はオペレーションやファイナンスなど、それぞれの専門分野で努力し成果を出していると思います。しかしながら、その結果を部門の外に出すとき、あるいは外の部門から人やお金、情報などのリソースをもらう時、そして共同で出した結果の分配をするとき、交渉術は必須のスキルとなります。

どんなに自分の専門分野で素晴らしい能力を持っていても、リソースを外からもらえなかったり、成果の分配で損をすれば、当然評価は思うようには伸びません。

しかしながら、交渉術を身に着けることで、よりチーム内やチーム外との交渉がスムーズになり、仕事の大きな土台を作り上げることができます。

このように、魔法のような結果を生み出すことができなくても、普段から利益が最大になるような交渉を行うことができれば、自分の結果を何倍にもすることができます。

ストレスの大幅な軽減ができる

自分のストレスもずいぶんを軽減されると思います。

交渉というと、どうしてもお互いの利益とメンツをかけたギリギリの交渉というイメージがつきまとい、非常にストレスフルです。これに立ち向かうだけでもストレスなのに、結果も出す必要があると思うと、とても気が重くなります。

更に、交渉でストレスがたまる原因の一つが、正解がないこと、わからないことです。もしかしたら、もっと値切れたのではないか、もっと良い条件で合意ができたのではないかという懸念が常に付きまといます。

交渉術を学ぶことで、どういった合意が適切なのか、どのくらいのレンジが許せる範囲の結果なのかということが分かるようになります。

その結果、上にあげたような交渉に向かうことで起こるストレス、そして結果が不明瞭であることで起こるストレスを大幅に軽減することができます。

これは実際に実感をしてみると、想像している以上に大きなメリットであると言えます。

【What】フレームワークとネゴシエーションの収め方

交渉術で学んだフレームワークは非常にシンプルでした。パイの最大化、BATNA、論点、バーゲンレンジです。

パイの最大化

パイの最大化とは交渉を行う時、まずは二人の合計の利益が最大になるように考えましょうということです。

例えば、交渉学の分野で有名らしい「オレンジの寓話」があります。1つのオレンジを姉と妹で分けます。当然、姉も妹もオレンジが欲しいと言って取り合いになります。そこで母は半分にして、二人に分け与えると、二人ともなき始めたというお話です。

じつは姉はオレンジケーキを作るために、オレンジの皮のみが欲しくて、妹は食べるために果実が欲しかったのです。

一見すると、姉と妹で利益(オレンジの果実)を狙っているようなのですが、注意深く見てみると、求めるもので違いがあり、それに気が付いていれば姉も妹も大満足となるはずだったのです。

このように、パイ(二人の利益)が最大になるようにし、その後利益の分割について話を行います。

ちなみに、もし二人で果実を分け合うことになると、いくつか方法があり、1つ目は第三者などによる客観的な分割基準を持ってくる方法、2つ目は片方が分け方を決め、もう片方が先にどちらかを選ぶという方法です。

1つ目の場合は、様々なガイドラインの作成などによりビジネスの世界ではしばしば行われています。2つ目は、特に分割基準がない場合の対応です。2つ目の方法を採用した場合は、当たり前ですが、自分の取り分を最大にするには半分に分けるしかないので、平等になります。

BATNA、バーゲンレンジ

BATNAとは、Best Alternative To a Negotiated Agreementの略で「バトナ」と呼びます。これは、「交渉がうまく行かなかった場合の対処策として最善の案」となります。ちょっとわかりにくいので、具体例で考えましょう。

例えば、できるだけ安く空港に行くことを考えましょう。友人に交渉をして送ってもらおうと考えています。しかしながら、もしこの交渉がうまく行かなったとき、最も安く行く方法(最善の方法)は、民間のシャトルバスで30ドルだといます。

このときのBATNAは、「民間のシャトルバスを使う」ということになり、このときの交渉では30ドルが重要な意味を持ちます。

というのも、もし友人に送迎のお礼(費用)を支払うことを考えたとき、BATNAより高い値ならばBATNAを選んだ方が費用は少なくて済みます。すなわち、30ドル以上友人に支払う必要があるならばシャトルバスを用い、それ未満ならば友人に頼むという基本戦略ができます。

このようにBATNAがわかれば、重要な判断の基準が分かり、交渉をよりクリアに進めることができます。

自分と相手のBATNAを理解しておくことで、それぞれの利益のベースラインが分かります。

更にBATNAを深めて、相手の希望の値や受け入れ可能な値、自分の希望の値や受け入れ可能な値を並べて数直線にすると、バーゲンレンジとなり、交渉のとても重要な資料になります。

交渉の論点

論点なんて大したことないでしょう、と思うかもしれませんが、思いのほか重要です。

交渉の内容を整理し、詳細を詰めていくとしばしば、何が論点か不明瞭になることがあります。

そのため、まずはしっかりとケースを読み込んで、何が自分の論点なのか、そしてどこまで譲歩できるのか、また自分の論点は他の論点と関連があるのか、組み合わせるとどこまで譲歩できるのか、といったことを細かく考えて準備しておく必要があります。

そして、自分の論点だけでなく、相手の論点の整理も行います。もちろんすべての論点が分かることはありませんが、役割が分かっていればどのような論点を持っているだろうということは想像できます。

そして、相手の想像できる論点に関して、どのように対処をするかを考えておきます。

【How】過去のデータを自分の結果を比較せよ!実践でスキルアップ

このような交渉術ですが、意外と頭で理解するのは簡単です。ですが、一番の問題はどう実践するかなのです。

熊個人は、リーダーシップも含めて、このようなソフトスキルはスポーツのようなものだととらえています。

すなわち、知識として知っていれば、ずっと上達は早くなりますが、知識だけでは何の役にも立たないということです。知識を得て、その上で練習を積み重ねることで初めて身につくと思います。

そして、熊の学校では幸いにして実践重視の授業が行われていました。

授業の進め方

熊の行っていた学校では、授業を前半と後半に分け、前半で講義、後半で実践となっていました。前半の講義では、BATNAや論点の整理方法から始まり、様々なフレームワークを学びます。そして後半の実践では、実際に予習として読んだケースの役を与えられ、実際に交渉を行います。

実はこの授業の後は、いつもクラスメートらがとても盛り上がっていました。それは、交渉の結果について、あーでもない、こーでもないと議論するからです。大抵、「How much did you get?」のように、挨拶もそこそこに自分たちの交渉の説明や理屈が語られはじめ、クラスメートでの熱い議論が行われます。自分の合意した内容や金額が適正だったのかどうか、これらのケースの真意はどこにあったのかということを、自分の交渉スキルというプライドをかけてクラスメートと議論します。

授業の中での学びも重要ですが、このような緊張感を持った授業の形式はとてもMBAらしく、学びの多いものになりました。

そして、何よりも重要なのが次の授業の前半の講義です。前半の講義で、教授からケースの真意やフレームワークの使い方、そして全員の結果が出されます。

まったく合意できなかったグループや、非常にうまく行ったグループ、あるいは極端な金額で合意したグループなど、思いのほかバラエティに富んだ結果となります。授業ではそれらについて、教授が生徒から話を引き出し、解説を加えていきます。

このように、緊張感をもってケースに取り組み、フィードバックを繰り返すとことで交渉術を身に着けていきます。

ケース・チャリティー団体への補助

印象深かったケースの一つに、チャリティー団体への補助のケースがあります。

政府がサイズの異なる3つのチャリティー団体に補助を行うのですが、上限が決まっている金額の割り当てを自分たちで決める必要があります。そしてポイントは、2団体でも3団体でも合意ができるというところです。すなわち、1団体、のけ者にして良いのです。

結果としては、与えられた情報を用いると3団体で入って、計算することで求められる金額で分けるのが最も合理的となります。しかしながら、ここで情報の解釈具合に差がでてきます。

熊の時は、ある1つの団体が最も有利な立場にいるにも関わらず、金額を計算できること自体に気づいていませんでした。そこで、もう1つの団体に話しかけ、様々な理屈をつけてさも適切な値に見せかけることで、熊ともう1つの団体は想定以上に大きな額を手に入れることができました。そして、1つの団体は思っている以上に少ない額となってしまいました。しかしながら、そのこと自体に気づいておらず、満足した様子でした。

さて、次週の前半の解説でどうなったかは、想像できると思います。

損をした団体は、そこで初めて損をしていることに気づき、準備と情報の大切さを学ぶことになりました。

ケース・ドーム開発

今度のケースはドーム開発です。開発の承認あたり、6つのグループー労働組合や政府など、がドーム開発の合意を目指します。

ここでのポイントが、6グループではなく4グループの合意で承認できること。そして、ケースが6グループ全員の合意を得られないようにデザインされていることです。

皆、始めはパイの最大化で6グループ全員の合意を目指しますが、途中でほぼ不可能なことに気づきます。そうすると、あとは誰をはじき出すかです。

普段は2~3人で交渉するにも関わらず、今回は6人です。初めは秩序だっていた交渉も、途中からはカオスとなり、やがて怒声が飛び交うようになります。

最終的には、叫び声とともに、部屋から飛び出す人も出る始末。

始めは授業だからと落ち着いていたクラスメートも、ヒートアップしてからは落ち着かない様子です。

結果としては、1人をはじき出して合意をすることができたようなのですが、クラスメートの新たな一面を見て、そして、交渉の第一原則、「感情は交渉の敵」ということを実感させられたケースとなりました。

まとめると

ビジネスマンだけでなく、あらゆる人に必須のスキルNegotiation(交渉術)についてお伝えしました。

  • フレームワークを知ることで適切な合意を知ることができる
  • 入念な準備と情報の整理で、相手も自分もハッピーに
  • ケースを通して実践することでスキルを身に着ける
  • 知識だけでなく、経験と自信を得ることができる

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