熊のカリフォルニアMBA留学記

理系の熊がカリフォルニアで七転八倒したMBA留学の記録(ブログ)です

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理系版MBAと言われるMOTは日本が広めた?MOTの歴史と現状

      2016/01/05

理系の熊が経営を学ぶ!と決めて一番に考えたのは、MOTを受けてみるかということでした。

熊は元々エンジニアだったので、会社には技術を生かした経営が必要だと思っていました。そうなると第一候補に挙がるのはMOT、技術経営です。

MOTは製造業を中心として培ったノウハウやコンセプトを経営学の観点からまとめたものです。そして、その誕生には日本が大きく関わっています。

以前の記事ではMOTとMBAの違いなどを図解しながらお伝えしてきました。

熊の私見が入っているところもありますが、今回の記事ではMOTの歴史から日本での現状までお伝えしたいと思います。

MOTはどうやって生まれた?

きっかけはJapan as No.1

MOTが産声を上げたのは1981年、MIT (Massachusetts Institute of Technology)のSloan School of Managementでのことです。

Sloan School of Managementは当時もそして今もMBAのトップ校の1つです。アメリカのボストンに位置し、MBAの総本山ともいえるハーバード大学の側です。学生の行き来も頻繁に行われています。ちなみにSloanとは、MIT卒業でGMの社長を長年務めたAlfred Pritchard Sloan Jrから来ています。もちろん、Sloan School of Managementの設立を支援しています。

さて、このSloanでMOTが生まれた直接的なきっかけはアポロ計画までさかのぼります。人類が月に初めて行くなんていうエキサイティングなイベントに、アメリカ中が注目していた時期です。この時期の科学技術の発展に対する期待は非常に大きかったと想像します。

そんな中、1962年にテクノロジーをマネジメントしようというプロジェクトが立ち上がり、1981年にMBAにMOTコースが設置されます。

ちょうどこのころは日本の高度経済成長と共に、日本の製品がアメリカで売れに売れ、貿易摩擦が問題になっていた時期です。1977年には鉄鋼・カラーテレビのアメリカへの輸出自主規制が行われましたが、1980年代になると自動車などが問題となりました。それほど、日本の工業製品がアメリカで売れていたのです。

1979年にはJapan as No.1という本が出版され、大きな話題となりました。

このような状況の中、1980年代には、スタンフォードやハーバードにもMOTが設置されました。MOT人材の育成が広まっていきました。

何がMOTで研究されたか

ではMOTでは何が研究されたのでしょうか?

初期のMOTでは、生産管理、品質管理について研究がなされていました。

これらは熊もオペレーションの授業で学んだことです。生産管理ではジャストインタイムやカンバンといった自動車産業で用いられる生産管理手法を学びました。もちろん、このときの教材の多くは日本の企業を対象にしています。授業中に出てきたビデオも日本の昔の自動車工場でした。

その後はさらに、これらのオペレーションを支えた日本の組織についての研究などもされたようです。

例えば、終身雇用や年功序列という雇用慣行について、いわゆる人事異動などです。アメリカでは基本的にポジションに人がつくので、人事異動で部門間移動をすることは多くありません。(近年はローテンションプログラムを提供する会社もかなりあるそうです)。

現在のMOTはどうなっているのか?

上記を見ればわかる通り、MOTの研究の端を発しているのはオペレーションの分野です。それが徐々に幅を広げ、組織論やR&Dの長期戦略などについて研究がなされました。

ここまでくると、もはやオペレーションの一分野ではなく、経営学の戦略などの他の分野の内容となってきます。

したがって、近年はMOTをMBAの一部として再吸収する大学が増えてきているそうです。

2015年現在、MITはMIT LGO (Leaders for Global Operation) という工学部とのデュアルディグリープログラムやMaster of Science in Management Studies、System Design and Managementといったプログラムを提供していますが、プログラム名にMOTという単語は見当たらなくなりました。

まだMOTを残している学校もありますが、一般的にはMBAの一部となったという認識だと熊は思っています。

日本でのMOTはどうなっている?

日本でMOTが始まったのは2000年代前半から

日本では2000年代前半に技術マネジメント、イノベーションマネジメントなどという名前でMOTプログラムが始まりました。

その後、学問の追求ではなく、高度の専門性を求められる職業を担う人材を育てるための専門職大学にてMOTプログラムが提供され始めました。

横浜国立大学、北陸先端科学技術大学院大学、芝浦工業大学、日本工業大学、東京理科大学などがこの分野の先陣を切りました。

日本のMOTは他国とちょっと違う

熊も理由はよくわからないのですが、日本のMOT教育は他国とちょっと毛色が違うようです。

アメリカなどではMOTは経営学の一分野としてとらえられ、基本的に経営を学ぶことを主眼に置いてあります。しかしながら、日本ではMOTは経営学とは異なる学位が与えられ、違う分野と認識されることがあります。また、他国に比べると工学の割合が随分高いようです。

しかしながら、近年はイノベーションというキーワードをもとに、工学だけでなく経営学的なアプローチをしっかりと取り入れる必要が出てきています。徐々にですが、工学から経営学の方に力の入れるポイントが動いてきているのではないでしょうか。

まとめると

MOTの誕生から日本での現状までをまとめました。

  • MOTの発祥はMITで1980年代
  • MOTは日本の工業製品の成功でアメリカでは広まった
  • アメリカではMOTは経営学の一分野として吸収されつつある
  • 日本では、2000年代前半に始まった
  • 日本のMOTは工学によりがちだが、近年は経営学との融合も進む

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